「湘南色」とは異なる「横須賀色」の屋根上を再現
クモニ83形は、旧型通勤電車の72系を改造した荷物電車として1966年に登場しました。車体は台枠以外は新造され、前面は後に登場する103系高運転台車と同様なデザインとなっていました。1975年に中央本線全線電化に伴い追加された車両は「横須賀色」となり、パンタグラフはトンネル断面の小さな同線に対応するため、折り畳み高さの低いPS23形が搭載されました。製品は、2016年に発売した『クモニ83-0形(湘南色)』とは各部を作り分けています。パンタグラフは『湘南色』ではPS13形でしたが、『横須賀色』では前述のPS23形としており、避雷器やアース、配管類の位置関係を始め、ベンチレーターの設置間隔も変更された屋根上の機器類を再現しています。
位置の高いトイレ窓、塗り分けに合わせたサボ受け
続いて側面部をご覧ください。『横須賀色』の製品では、トイレ窓の高さが両サイドに並ぶ側窓の上部よりもやや高い位置から設置されている姿を再現しており、トイレ窓と側窓の上部の位置がほぼ揃っている姿とした『湘南色』とは作り分けています(写真左)。また、両側面のドア横に1箇所ずつ設置されているサボ受けの位置も実車に基づき、同じツートンカラーながらも「湘南色」とは塗り分け位置が異なる「横須賀色」に合わせて変更された姿を再現しています(写真右)。
乗務員扉後ろのステップの有無、銘板の位置も再現
『湘南色』の製品では、乗務員室扉の後ろのステップが両側面に1箇所ずつあるタイプを再現していますが、『横須賀色』では左側面前位側の乗務員室扉の後ろのみに設置されているタイプとしています(写真上左・上右)。また、後位側前面にある銘板のモールドは『横須賀色』では縦に3つ並んだ姿を再現しており、銘板の位置に至るまで『湘南色』の同形とは作り分けています(写真左)。
実車は晩年に関西へ転属し、大阪~姫路間の荷物輸送に2両で使用され、「横須賀色」どうし、または「湘南色」との連結で運用されていました。「横須賀色」の115系との併結運転は4+4の8両編成のみでしたが、国鉄時代に中央本線で活躍した車両をモデル化し、車体番号は印刷済みとした『115-1000系(横須賀色)』の4両セットが同時発売予定ですので、模型としての遊び方のひとつとして、クモニ83形と併結させて雰囲気をお楽しみいただくのもいかがでしょうか。