BORG125SDモニターレポート・東谷様(1)

BORGブランドから満を持して発表となった大口径対物鏡筒であるBORG 125SD。今回、幸運にも125SDをモニター試用させていただける機会に恵まれました。皆さん、こんにちは。挨拶があとになりましたが、125SDのモニターに選ばれました東谷宏幸と申します。宜しくお願いいたします。

今回のモニターでは撮影対象が“野鳥”に限定されています。私は普段、デジタル一眼レフもしくは通常のフィールドスコープを用いたデジボーグシステムで野鳥の撮影をしておりますが、天体鏡筒とコンパクトデジタルカメラを用いたコリメート撮影の経験もあります。しかし、今回お借りしました125SDは焦点距離750mmで対物レンズ口径が125mmあります。これは焦点距離対対物レンズ口径比でいうと一眼用レンズのゴーヨン(500mm/F4)に匹敵する明るさとなります。これだけの大口径であれば一眼レフでの直焦点による野鳥撮影においても極めて高画質が期待できそうです。

 今回のモニター用の機材が私の手元に届いたのは2月中旬頃のことでした。ちょうどその頃、北海道への野鳥撮影のための遠征を控えていたため、状況によっては125SDを遠征に持参ということも頭にあったのですが、自宅に届いた巨大な段ボール箱にまず圧倒される結果となりました。機材を仮組したところ相当な重量となり、北海道にもともと持参する予定だった他の機材との兼ね合いで、今回、遠征のお供に125SDを連れ出すことは残念ながら実現いたしませんでした。

レポートの最初に、まずは機材を一通り組み上げた状況の写真をご覧いただくこととします。実際のフィールドでの撮影では、最短合焦距離を短くするためにカメラマウントアダプタとカメラとの間にニコン製の中間リングを一つ入れています。機材を組み上げた状態で重量は約8キログラムと相当に重くなります。野鳥撮影はぶれとの戦いでもありますが、これだけの機材重量になると脚周りも相当しっかりしたものが必要となります。ジッツォの三脚でいうなら、最低でも3型、できれば5型三脚が望ましいと思われます。
雲台と鏡筒との接続にはマンフロットの501タイプのプレートと同じ仕様で長さを約30センチに延ばした特注プレートを用い、鏡筒バンドを2個使って支えています。機材総重量が重くなるので鏡筒バンド1個による1点止めでは不安定になり、ぶれ発生の原因になるほか、不意の機材落下事故の原因ともなりかねません。雲台プレートとカメラとを直接繋ぐことは現状ではしていません。このため、カメラを含めた接眼部以降のパーツの重量がフォーカス部にかなりかかります。フォーカス部のスムーズな動きの確保と機材ブレの排除という観点からはカメラもプレート部に固定し、フォーカス操作時に前後にスライドできるようにするほうがよさそうですが、天体空間のように上下左右の概念が問題にならない天体撮影とは異なり、野鳥撮影においては構図も重要な要素になってきます。カメラの三脚座を固定してしまうと横位置と縦位置との切り替えが妨げられることから、現状ではカメラの三脚座を雲台プレートに固定することはしませんでした。これについては、モニター期間中に横位置、縦位置の切り替えとカメラの固定の両方を両立させる対策を施したいと考えています。

続いて、第1回目の実写レポートです。今回モデルになっていただいたのは近くの公園の地面で忙しく採餌中のトラツグミです。125SDセットと一緒に貸し出しいただいている1.4倍テレコンバーターは使用せず、750mm35mm換算1125mm)での撮影ですが、警戒心なく近づいてくるので、画角内に収まり切らないこともありました。125SDの対物レンズの解像感を検証するにはちょうどよいモデルさんだったと思います。実写画像をご覧いただければわかりますが、ピント面は非常にシャープです。それでいて前後のボケ味はとても綺麗です。実際にフィールドにでて初めてファインダーを覗いた際に、中央部に比べて周辺部にやや画像の流れが感じられるように思いましたが、撮影済画像を見る限り、全く気にならないように思います。


BORG 125SD+Nikon D300。カメラにレンズ情報を手動設定の上、絞り優先オート(実際には絞り環はないので開放のF6固定)。SS1/80。

この日、午前中は前日からの雨が残る天気で、午後から雨は上がったものの、夕刻まで曇り空が続き、トラツグミの撮影は午後4時を回っていましたので露出的にはかなり厳しい状況でした。シャッタースピードは1/100秒~1/30秒程度にとどまります。接眼部以降をプレート等で支えていないため、ブレが心配でしたが、なんとかうまく撮影できたようでほっとしています。

フォーカス部にはマイクロフォーカサーをお借りしていますが、大口径ということもあって被写界深度はかなり浅く(その分美しいボケが得られるわけですが)、微動ノブでも最終的なピント調整はかなり難しいと感じられました。今回の使用カメラはニコンのD300でしたが、125SDは対物レンズの開放F値がF6.0と明るいため、フォーカスエイドでマニュアルフォーカス時のピント確認をすることはある程度可能です。但し、野鳥の瞳の表面と、その周辺のピントの山となると零コンマ数ミリの世界となりますので、最終的にはファインダーを覗く自分の目が頼りになります。


SS1/30。トラツグミが少し姿勢をかがめ、やや動きのあるシーンとなりましたが、低速シャッターでもブレは感じられません。


縦位置での撮影。縦位置構図は比較的よく使うためカメラ部を固定していない。SS1/100。


同じく縦位置構図による撮影。SS1/30。背景に木の根元が重なる位置に来たタイミングでシャッターリリース。


トラツグミがかなり近くまで寄ってきたため縦位置構図では全体が入らず。SS1/80。

今回は、ファーストインプレッションも兼ねた最初の撮影でしたが、125SDの画質は期待を裏切らない結果だったと思います。次回レポートにおいては、野鳥撮影をする上での操作性について、一眼レンズでの撮影と比較しながら検証してみたいと考えています。

(1)  (2)  (3)  (4)
ページトップへ戻る