2006年12月11日 特集: 土星の環を見てみる(2/3)

●太陽系~土星のはなし《その2》

惑星の名前は、ギリシャ神話の神々にちなんで付けられています。これもまた神秘的ですね。土星は、ギリシャ語で「クロノス」。6人もの子宝をさずかったのに、いつか自分が子どもに倒される日が来るかもしれないと怖れて子どもを飲み込んでしまったクロノスは、結局不運をまぬがれた息子ゼウスに倒されることになってしまいます。土星には、ちょっと気の毒なこの神様の名前がつけられました。天空の神ウラノスを父に持つクロノスもまた、天空を治め、農耕の神でもありました。ウラノス一家は巨人族(タイタン)だったので、この巨人一族の統治も彼の仕事だったそうです。中世までは土星が太陽系のさいはてでした。土星は死や破壊や災いといった人間の限界を意味するものでもあったらしいのです。クロノスはラテン語ではサトゥルヌス(Saturnus)。これが英語のサターンの語源になったというわけです。
こうした名前の由来などのマメ知識も、本当の土星を見るときっともっと身近になります。宇宙が自分に近づいてきます。やはり、なにごとも「自分の目で確かめる」ってステキなこと。この冬は、ぜひ、望遠鏡で土星を見てそしてギリシャ神話を紐解く、なんていう年の瀬はいかがでしょうか。

《惑星たちの名前》
一般的な呼び方 ギリシア語 ラテン語 神話の中ではこんな神様
水 星 マーキュリー
Mercury
ヘルメス
Hermes
メルクリウス
Mercurius
商業の神・旅人の守護神
(オリンポス12神の1人)
金 星 ヴィーナス
Venus
アフロディテ
Aphrodite
ウェヌス
Venus
愛、美、豊饒の女神
(オリンポス12神の1人)
地 球 アース
Earth
ガイア
Gaia
テルス
Tellus
大地の女神
火 星 マース
Mars
アレス
Ares
マルス
Mars
戦いの神・軍神
(オリンポス12神の1人)
木 星 ジュピター
Jupiter
ゼウス
Zeus
ユピテル
Jupiter
最高神・全能の神
(オリンポス12神の1人)
土 星 サターン
Saturn
クロノス
Kronos
サトゥルヌス
Saturnus
天空の神・農耕の神
天王星 ウラヌス
Uranus
ウラノス
Ouranos
ウラヌス
Uranus
天空の神・サターンの父
海王星 ネプチューン
Neptune
ポセイドン
Poseidon
ネプトゥヌス
Neptunus
海、河川、泉、地震の神
(オリンポス12神の1人)

《参考書籍》
・『漫画ギリシア神話・全8巻』 著者:里中満智子 発行:中央公論新社
・『ギリシア・ローマ神話辞典』 著者:高津春繁 発行:岩波書店
・『ギリシア・ローマ古典文学案内』 著者:高津春繁・斎藤忍随 発行:岩波書店
土星を見ながらギリシャ神話を紐解いてみよう!
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