miniBORG60 のレポート (初回:熊懐様)

ミニボーグ60(倒立)セットのレポートを頂戴いたしました。
かなりの力作(文章&画像)を頂きましたので、熊懐さまご了承の上弊社にて編集させて頂いております。

 


6月26日帰宅すると、MiniBORG60 モニター用品一式が、小さな箱に入って送られてきていました。思いのほか小さくて驚きました。


組み立て

組み立て自体は簡単でしたが、片持ちフォークとの取り付けが、六角レンチを使う必要が有るというのは、少し面倒くさい気がしました。(*1

 

使用機材
BORG60+アイピース色々+SD-1X+CASIO EX-P600+片持ちフォーク+三脚:ベルボンC600

アイピースは、UW-9を同梱していただいたのですが、使用しているカメラEX-P600にはアイレリーフが短すぎて、使えませんでした。 (予想していたのですが、UW-9を見てみたかったのでお借りしました)(*2

主なアイピース
近距離=XL28(最近ビクセンPL32を評価中 良いですよ)
中遠距離=TSE-17HD(天体用に改造)またはXL14
遠距離:XL7(ほとんど使ったことは有りません)

 

作例画像
やはりノーマルレンズの宿命で、パープルフリンジが大きいため、写真の撮り方に工夫が必要です。露出がオーバーになると、白(青)にじみが回りに出てくることが画像の画質低下になってしまうようです。

林の中では、かなり暗くなりますのでBORG60を使っても長焦点距離のアイピースが必需品のように思います。 (ビクセンPL32も使えますよ)

 


カワラヒワ XL28   ISO=100 1/15 F2.8 0EV f7.1mm(33mm) 光源曇天

白が入っていない場合は、何の問題も無く綺麗に取れます。 

 

ゴイサギ XL28   ISO=100 1/200 F3.5 -0.7EV f16.33mm(76mm) 光源曇天

白い鳥はかなり暗く撮影して、画像処理で明るくすると色収差はあまり出ません。(*3

 

片持ちフォークは、動きがスムーズですので、全く手持ちと同じ感覚で使えます。

アオサギ (この写真のデータは不明です)

倒立の上照準器も無い状態でしたが、初めての飛び物への挑戦もらくらく出来ました。
これでも暗めに撮ったつもりでしたが、色収差がでました。もっと露出を絞ればよかったのですが、頭が回りませんでした。(*4

 

月 XL14 ISO=50 ss1/15 F9.2 f14.2mm(66mm) 光源AUTO
(容量の都合により写真は掲載していません)

片持ちフォークの微動装置は、適度な移動距離ですばやく位置合わせが出来るので大変便利でした。 

 

ミニボーグは楽
45EDと、60を交互に使っています。2本鏡筒を持ち運びするのは大変なので、60を取り外す場合は、対物とフードを逆にして格納すると半分くらいのサイズになり、まるでアイピースを持ち歩くのと同じ感覚となります。

アイピースを入れるケースとして、100円ショップから買ったMDケースを使っていますが、アイピースと一緒に丁度入ってしまいます。(*5

必要に応じて、くるくると対物レンズを交換しながら、撮っています。
アイピースと同じように色んな焦点距離の対物レンズがぽんと交換できると面白いですね。(*6

ミニボーグ60EDの製品化を首を長くして待っています。

 

片持ちフォーク
片持ちフォークの使い勝手は思いの外快適です。自作片持ちフォークを使っていますが、やはり製品の方が、動きが軽やかです。

動きを渋くさせようと思って締め付けても中間の力で締め付けられないことが今一つのようです。ほぼフリーか、硬めになってしまいます。デジボーグでは自由に動くけど簡単には動かない位のテンションをかけておく必要があります。照準合わせは軽い方がよいのですが、軽すぎるとピント合わせのときにずれてしまいます。(*7

一度片持ちフォークやジンバル雲台を使うともう普通のビデオ雲台には戻れないでしょう。お勧めです。

フォークを三脚に取り付けてみると、三脚への取り付け面積が小さすぎる気がします。また、取り付け位置が、スコープの位置からかなり離れるため、水平方向の安定性に問題がありそうです。ミニボーグクラスではあまり問題にならないかもしれませんが、77EDクラスだと問題になりそうな気がしました。(*8
アリ型は、もう少しサイズを大きくして普通のアリ型も付けられると便利だと思います。また、アリ型に脱落防止の工夫が有ると良いと思います。

 

カメラについて

CASIO EX-P600について、別レポートの方がよいのでしょうが、簡単に触れておきます。

このカメラは、何から何までデジボーグ向きですが、唯一レンズの繰り出し量が長く、長いアイレリーフが必要です。約30mm前後必要なようです。

私の場合は、KOWA TSE-17HDのアイレリーフが32mmですので、これにプラ延長筒をカットした物をかぶせて31.7mmアメリカンタイプのアイピースに改造して使っています。しかし、焦点距離が長いアイピースXL28などは、瞳径が大きくなるのでアイレリーフが20mmでも使えます。
XL14やXL7でさえも、位置調整の頻度は上がるもののズーム全域ケラレ無しで使うことが出来ます。(見掛け視界でのけられは除く) 

 

その他

他社の正立プリズムやレデューサを入れようとするとミニボーグ鏡筒を取外さざるを得なくなり、その場合三脚への取り付け方法が無くなってしまいます。軽い鏡筒バンドの開発をお願いいたします。(*9

 


今回のレポートは内容が深いので、解説を付けました。本文でご理解いただきにくい部分をフォローしていますので、あまり詳しくない方はご参照いただければと思います。


(*1)望遠鏡と赤道儀の接続には専用の部品が必要です。専用部品と望遠鏡を繋ぐときは、ボルトを六角レンチで取り付ける作業を行います。通常は一度取り付ければ取り外すことは殆ど無いと思いますので、初回だけの作業です。


(*2)カメラとの組み合わせにより、アイレリーフの必要な長さが変わります。P-600 の場合は長大なアイレリーフが必要になるそうです。


(*3)ゴイサギの写真は、撮影時にわざと露出をアンダーにされています。その後に画像処理を行い、調整して仕上げをします。この作業をすることで、撮影時の露出オーバーを抑えて、色収差が少ない写真が得られます。


(*4)アオサギの飛翔写真も、倒立像での撮影です。凄いですね。照準器なしで撮影するのはかなり大変だと思います。この写真は熊懐さまもコメントされている通り、露出がオーバーで白が飛んでいて色収差も酷く出ています。白いサギやアオサギの場合は、-1程度は普通に補正する必要がありそうです。


(*5)ミニボーグ一式は小型軽量です。また、各パーツをバラバラにできるので、レンズと鏡筒と接続パーツという形に分解してしまえば、小さい箱にも収まります。お使いのMDケース収納方も面白いですね。


(*6)現在ラインナップされている3種類(45ED,50,60)は全て互換性があります。3つとも随時組み替えて使えますので、アイピースだけでなくて、対物レンズも交換できる面白い遊びが出来ます。ご期待の60EDは年末以降の予定をしています。少し遅れ気味に進行していますから、今しばらくお待ち頂ければと思います。


(*7)片持ちフォーク式赤道儀のフリクションは、微調整が可能です。詳しくは、こちらをご覧ください。テスト撮影時には殆どこの赤道儀を使用しています。フリクションは固めの方が微動と組み合わせるにはベターと思います。殆どロックする必要はありません。


(*8)三脚と接触部分は直径43mmの円形です。通常の三脚に直接取り付けると、ちょうどよい大きさです。お使いの三脚が大型タイプですと、見た目アンバランスになるかも知れません。また、三脚に直接取り付けずに雲台に載せると不安定になることがあります。
80φ鏡筒を取り付けると重心位置が変わり、安定性が多少犠牲になると思います。先日の77ED実写テストでもこの赤道儀に載せて使いましたところ、取り扱いには問題がないものの、三脚の中心から重心がずれていることが意識されました。


(*9)ミニボーグは色々なパーツと組み合わせて使う、カスタム方式の望遠鏡です。他社製品も含めて、色々な組合せや独自の工夫を懲らして頂けます。組合せによっては鏡筒本体も外すことになりますし、逆に取り外すことが出来るのも大きな特徴です。
ご指摘の鏡筒バンドは現在企画中ですので、今後商品化する可能性もあります。また、足つきの2インチホルダーなども同様に企画しております。お楽しみにお待ち頂ければ幸いです。

 

お写真と文章(html)を沢山頂戴いたしました。容量にして8Mを超える大作です。
とても全部はご紹介出来ませんので、写真のセレクト(加工なし)と文書の編集を行いました。なお、原文には極力手を入れない形に仕上げていますが、所々単語や表現を変えてあります。

既に45EDで撮影されている方のレポートですので、パーツやカメラなど多岐に渡るレポート&ご意見を頂戴致しました。情報も豊富ですので、色々参考になる内容がありますね。
ミニボーグ60の様なアクロマートレンズには色収差が付きものですが、上手く使いこなすと”安価で大口径なレンズ”に変身します。 アクロマートレンズとは言っても、最新のレンズ設計が施されているので、少し前には考えられないような抜けの良さが実感出来ると思います。

 

(kaji)

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