BORG WORLD 画像作例集

36ED(1[1].1倍フラットナー、ハート星雲)s.jpg

ハート星雲 コ・ボーグ36ED+1.1倍スリムフラットナー(試作品)+ST-8300M+ビクセンSXD 撮影:中西直樹様 
<中川コメント>
コ・ボーグでこれだけ撮れてしまうと、この事実を受け入れるのか受け入れないのかで評価が変わります。撮影者の柔軟性を測る踏み絵のようなレンズともいえます。

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今回の撮影機材=主鏡:コ・ボーグ36ED+1.1倍スリムフラットナー(試作品)+ST-8300M ガイド鏡:コ・ボーグ36ED+CCDカメラ 赤道儀:ビクセンSXD 撮影:中西直樹様 
<中川コメント>
Wコ・ボーグは主鏡が60Φ鏡筒システムで構成、ガイド鏡が45Φシステムで構成と、BORGならではの柔軟なシステムで構成されています。BORGしか出来ない芸当です。

36ED撮影・36EDガイド全景.jpg

今回の撮影機材=主鏡:コ・ボーグ36ED+1.1倍スリムフラットナー(試作品)+ST-8300M ガイド鏡:コ・ボーグ36ED+CCDカメラ 赤道儀:ビクセンSXD 撮影:中西直樹様 
<中川コメント>
鏡筒はボーグ、赤道儀はビクセンという純国産セットがこれからのトレンドです。コ・ボーグならもっと軽量の赤道儀で十分撮影が可能です。チャレンジャーがどんどん出てくることを期待しています。

<撮影者のコメント>
こんにちは、中川さん。中西です。36EDレポート第17弾 ハート星雲撮影(1.1倍スリムフラットナー)編です。(そろそろ第20弾の背中が見えてきましたね)

先日のペルセウス二重星団は少し小さな対象でした。星像が美しいのは、皆様にお分かりいただいたと思いますが、少し迫力不足だったかもしれません。しかし、本命のハート星雲は、結構迫力があります。どうぞ、星雲のディテールをご覧ください!本当に口径36mmのレンズで撮影したのか!?と、多くの人が思われるのではないでしょうか?(撮影した本人が、思うくらいですから・・・)普通のファインダーよりも小さいレンズですが、高精度なEDレンズなら、ここまで写るのです!

自分で言うのも何ですが、コンテストでも入選レベルではないでしょうか?(ただ月夜でない日に青を撮り増しして、星雲の青を幾らか表現する必要があるかもしれませんが)36EDで天文誌に入選したら、過去最小口径の望遠鏡での入選になると思います。ぜひ、私も狙いたいところですが、Borgのテスト・レポートが忙しくて月・太陽以外の応募が難しい状況が続いています(笑・泣)

36EDユーザーの皆様、フラットナーを入手して、ぜひ挑戦してみてください!入選すると、ある意味で歴史になりますよ。36EDの秘められた力は、いったいどこまであるのか?たったの36mm(失礼)で、どこまで撮れるか?見えるのか?ぜひご一緒に挑戦してみましょう!

参考ですが、2013年のビクセンカレンダーの6月に私の勾玉星雲を採用していただきました。この作品も45EDⅡ+0.7DGTという小口径で撮影しています。36ED+1.1倍スリムフラットナーとほぼ同じ焦点距離です。36EDでも、これくらいなら十分撮れる、というか頑張れば超えれます!

ただ、赤い星雲の表現は結構難しいです・・・。私も未だに試行錯誤しています。私は、AdobeRGB対応ハードウェアキャリブレーションのモニターで画像処理しています。自分のA3顔料プリンターとは、ほぼ完璧にキャリブレショーンができていますが、一般的なsRGBモニタで、どのように見えるかいつも心配です。一応、ネットで使用している普通のノートパソコンでチェックしているのですが、今回のように淡く赤いものは、なかなかしっくりきません(泣)

ちなみに、ハート星雲のような赤い星雲は、このように大きなものから小さなものまで、たくさん存在します。36ED+1.1倍スリムフラットナーの220mmでも、撮影対象は、よりどりみどりです。焦点距離が短いというのは、意外と多くのメリットがあります。(個人的には150mmくらいのBorgも欲しいですねー)当然ですが広い範囲が写せます。焦点距離が長い場合、大きな対象はモザイク合成する必要があります。

露出時間は何倍にもなり、画像処理もかなり難しいです。(これはこれで挑戦しがいがありますが)他にも、短焦点の場合シーイングの影響を受けにくいことも、大きなメリットだと思います。日本の上空には、ほぼ常にジェット気流が流れているので、シーイングが悪いことが多いです。500mm程度でも、シーイングが悪い時は、星像が甘くなってしまいます。36EDなら、コンスタントにシャープに撮れるのが、うれしい点です。

また、コンパクトというメリットは言うまでもありません。先日の67FL撮影鏡+36EDガイド鏡のセットも超軽量でしたが、今回は超超軽量です。贅沢な悩みですが、手持ちの一番軽いバランスウェイトでも重すぎて少し困るほどでした。(あまりに軽いからか、オートガイドは問題ありませんでしたが)

ただ比較的淡い星雲だと、36ED+1.1倍スリムフラットナー(F6.1)だと、少し暗いのでは?と思われる方もおられるかもしれません。実は、私も撮影前は少し心配していました。ハート星雲は、超超淡いというほどではないですが、北アメリカ星雲などと比べると、かなり淡いです。しかし、ご覧のとおり、しっかりと写ってくれました!

露出時間は、二晩合計で3時間半です。先日も説明しましたが、満月の2日前と3日前という悪条件です。北アメリカ星雲くらい明るい対象なら1時間程度でも、今回の作品以上に写ると思います。これから旬になる、オリオン大星雲の明るいところだけを狙うなら、それこそ数分でもかなり写ることでしょう。

以前、71FL+0.7DGTでハート星雲を撮影しビクセンギャラリーに入選させていただいたことがあります。撮影条件等が違うので単純比較できませんが、同じ露出時間では、もちろん71FL+0.7DGT(F3.9)のほうが明るく写っていました。しかし、36ED+1.1倍フラットナーにも、たくさんのメリットがあると思います。

まず、大きさや重量がかなり違います。さらに先ほども述べましたが、より広い範囲が写ります。また、値段もかなり安価なことが想像されます。それなのに、71FLと比べても星のシャープさは、ほとんど引けをとりません。(71FLと比べると、赤色のみ、ほんの僅かにピント移動がありますが、モノクロ冷却CCDで厳密に合わせない限りまず判別できません。ベイヤー配列の一般的なデジタルカメラの場合なら全く分からないと思います)

いずれにしても、上記の理由から、36EDと71FLは別物ということもできます。(超高画質という点では同じですが・・・)それで既に71FLを所有しておられる方にも、36EDはお勧めです。

明るさに関して、さらに少し考察してみました。36EDは口径が小さいので、当然のこととしてレンズも薄くなり光量の損失が少ないと思われます。また、カメラレンズと比べると圧倒的にレンズ枚数も少ないので実効F値は明るいはずです。(それ以前に、カメラレンズで星を撮影するには絞らないと厳しい場合が多いですし・・・)さらに、同じF値の反射望遠鏡と比べると、圧倒的に明るいです。

反射望遠鏡は、斜鏡でかなり遮蔽されていますし、ミラーの反射率が低いですし、さらに補正レンズも入るので、実効F値はかなり暗くなります。撮影時にも感じましたが、36ED+スリムフラットナーは、F値のわりに意外と明るいです。先ほど、71FL+0.7DGT(F3.9)と比較しましたが、こちらが明るすぎる(笑)といった感じでしょうか?さらに67FL+0.7DGT(F3.1)は、高性能なのに異常(失礼)ともいえるほど超明るいです。

つまり話題のアイソン彗星向きではないでしょうか?(発売が間に合えばですが)ちなみに、光害地でも、Hαフィルターや光害カットフィルターを使用すると赤い星雲は非常によく写ります。ただし青は非常に写りにくいです(泣)ただ、ほとんどの星雲は水素原子で光るため赤色なのが、うれしいところです。それで赤外線に、ある程度の感度のあるカメラがお勧めです。

私の自宅がある、100万都市に隣接する10万都市の中心部でも、これだけ撮れるのです!というか、都市部からの撮影でも、努力や工夫さえすれば、天文ガイドの最優秀でも、いただけるのです。都市部に住んでおられる皆様も、36EDで、ぜひ星雲の撮影にも挑戦していただきたいです。遠征がなかなか出来ない方でも、36EDならポタ赤に積んで小さなベランダでも十分運用できますよ。

先日の36EDのペルセウス二重星団のブログ記事で、中川さんが下記のようにコメントしておられました。「この画像を掲載するかどうかは正直迷いました。なぜなら、この画像から得られる結論は・・・「大きいレンズ不要じゃん」です。しかし、事実は事実として受け止めなくてはいけません。私がここで言いたいのは、先入観の怖さです。たった口径36mmでまともに写るはずがない、たった焦点距離200mmで凄い画像が得られるわけはない、という方が本当に多いのです。売るためには、やはり見た目のスペックがいかに重要かを物語っています」私は、技術者でありテスターなので、よい機材が手に入れば、純粋にうれしいです(笑)

Borgは小さな機材(36ED)であっても、全く手を抜かないところが凄いですし大好きです!

ただ、メーカーとしては中川さんのような心配がでるのも無理はないかと思います。確かに、一見、大きなBorgがいらないと感じる人もいるかもしれません。36EDで、こんなに凄いのが撮れると公開してしまうのは、ある意味で営業妨害かもしれません(笑)しかし、はっきり言えるのは、より大きなBorgだと、もっと凄いのが撮れるので何の心配もないということです!ただ大きなBorgの場合、能力を完全に引き出すには、それなりの工夫や努力がいります。

個人的にはBorg最大口径の125SDの全力を引き出してみたいです。いったい、そこにはどんな凄い世界が待ち受けているのか、考えるだけでも、わくわくします。既に生産中止とアナウンスされましたので、夢で終わるかもしれませんが・・・(泣)というわけで、36EDで、Borgに入門するのは非常にお勧めです!また、既に別途Borgをお持ちの方も、初心に帰って小さな36EDで撮影されるのもお勧めです!つまり、私の大好きな36EDを、全ての皆さんにお勧めします(笑) 以上、よろしくお願いします。

<中川コメント>
言うまでもなく、毎回素晴らしい作例をお送りいただく、モニターの中西先生(もう先生と呼ばせていただきます)の見事な作例です。これだけ写れば、これから天体写真を始める初心者の方には十分すぎます。そう、天体写真を撮るにはそれほど大きなレンズは不要なのです。むしろ、小さな機材で大きな機材で撮影したものを上回る快感を追求した方が面白いし楽しいです。「鼻をあかす」というやつです。この鼻をあかす行為は、力にものを言わす相手を負かす最大の原動力になります。コ・ボーグで撮影すると自然とメラメラと燃えてきます。「夜の起爆剤」コ・ボーグ36EDは只今予約受付中。もし市場で在庫を見つけたら即買いをおススメします。

P.S.今日は中間決算棚卸ですが、朝から電話、メール、FAXの雨あられで参りました。ブログを読まれていない方も結構多く、普通の火曜日よりも忙しいくらいで、棚卸がなかなか終わりません。その中でジャンク品がそこそこ掘り出されましたので、その一部を新宿のコプティック星座館さんに送付しています。ご興味のある方は店舗に問い合わせてみてください。

P.S.2 バーダーショップフジノさんの最近のブログの画像にはたまげました。BORG89EDで撮影したカワセミのドアップが物凄い解像度です。羽毛マニアは必見です。これを見るとデジボーグがいかに羽毛の解像に向いているかがよく分かります。さすがは藤野さんです。藤野さんは、BORG専門店の名に恥じず、BORGの在庫を豊富にお持ちです。メーカー切れの商品も即納可能ですので、画像に刺激された方は即問い合わせてみてください。今日現在のメーカー在庫情報を更新(昨日はうまく更新されていませんでした)しました。

P.S.3 先日、上野の国立科学博物館(以下かはく)に行ってきました。上野公園自体が凄い人出でしたが、その中でも「かはく」は激混みでした。ダイオウイカの特別企画展「深海」(10/6まで)の行列が2時間待ち。ハヤブサが持ち帰った小惑星イトカワの微粒子の一般公開にも行列で、日本の科学に対する関心は非常に高いことを実感しました。その中でボランティアガイドツアーに参加したところ大正解!解説が非常に分かりやすく大いに楽しめました。私の脳も大いに刺激を受けて、天体や野鳥だけでなく、幅広く見聞を広める必要性を感じました。かはくの展示を通じて感じたことは、「全ては繋がっている」ということです。天体には興味がないとか、野鳥には興味がないとか、そんな小さいことは言ってはいけないということです。全ての事象は繋がっているのだから、興味があるとか無いとかではなく、興味を持とうと思えば全てが興味深いということなのです。今日も天体やカワセミの投稿がたくさん届いています。明日以降掲載予定です。今日もBORG開発者ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

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