BORG WORLD 画像作例集

2013X2(1[1].4GR)スピカ食1.jpg

スピカ食 BORG67FL1.4倍テレコンバーターGR【7215】+EOS 50D+ナノトラッカーアングルプレート35II【3035】片持ちフォーク式赤道儀【3101】 撮影:中西直樹様

<撮影者のコメント>
BORG67FL(2013X2)レポート第7弾 スピカ食編です。今回の機材は、BORG67FL1.4倍テレコンバーターGR【7215】+EOS 50Dです。この撮影セットを、中型カメラ三脚+アングルプレート35II【3035】ナノトラッカー+Borg片持ちフォーク式赤道儀【3101】に、搭載しました。さらに、贅沢にも観望用として、BORG67FL+地上プリズムE-P2【7778】も設置しました!

東日本では観測できなかったところもあったようで残念でしたが、西日本では観測できたところも多かったようです。私の地元では、スピカの潜入時には、入道雲があって観測できませんでした。しかし、出現時には、入道雲が切れて薄雲が通過する中でしたが何とか観測できました。中川さんも、言っておられますが、なかなか夜すっきり晴れませんねー

低空の一発撮りですし、まだ気温が32度くらいあって地面からの熱気が凄く、気流も乱れています。しかも薄雲が常にある感じでしたので、作例としてはいまいちですが、その辺を差し引いてご覧下さると助かります。完璧とはいいがたい画像です恐縮ですが・・・条件を考えると、まあまあの写りでしょうか?(BORG67FLの、威力をまだまだ発揮できていません。すいません)ちなみに、トリミングのみで、ピクセル等倍の画像です。作品をご覧いただくと分かると思いますが、月縁で目立つはずの色収差もほとんど分かりません。(色収差の補正は全くしていません)

ちなみに、自宅からは、西側の撮影はできないので、少し遠征しましたが、汗だくで、大変でした・・・。ただ、これが本格的な赤道儀と大きな望遠鏡を持っていたら、はるかに大変だったと思います(あまり考えたくありませんが・・・)

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■参考画像:BORG89ED+片持ちフォーク式赤道儀【3101】+SWII三脚

今回の撮影セットは、片手で持てるほど軽量も関わらず、かなりしっかりしています。67FLと、Borg片持ちフォーク式赤道儀【3101】関連の組み合わせは、非常にバランスがよかったです。とっても小さくて軽いナノトラッカーですが、思った以上に頑張ってくれました!

他社のポタ赤も所有しているのですが、ナノトラは半分以下の大きさで全く別のジャンルといえるほどです。既に、他のポタ赤を、持っておられる方も旅行用などに持っておかれるとよいかもしれません。また、来るべきアイソン彗星に向けて、ポタ赤2台体制(Borgと広角カメラレンズ)として準備しておかれるのもお勧めです!

今回初めてBorgの片持ちフォーク式赤道儀【3101】を使用しましたが、カタログやHPで見ていたイメージより個人的には小さく感じました。それなのに、非常にがっしりしています。特に気に入ったのはクランプの効きです。実を言いますと他社の小型経緯台も持っているのですが、クランプの効きが悪く、ちょっとバランスが崩れると機材がじわじわとお辞儀をして困っていました。Borgの赤道儀では、全くそのようなことがありませんでした。もし、同じ点でお困りの方がおられましたら、リプレースを検討するに値すると思います。正直、使い勝手が非常によくなり、精神的にも安心できました。

あと、Borgの片持ちフォーク式赤道儀【3101】で、気に入ったのは高度計がついている点です。この機能とコンパスだけでも、結構な精度で極軸を合わせることができそうです。場所的に北極星が見えない時や昼間に、役立つこと間違いなしです。ただ、コンパスが指している北は、かなりずれていることに注意して方位を補正する必要があります。場所によっても変わるので、ここでは詳しくは述べませんが、検索エンジンで、「磁気偏角」と検索してみてください。場所にもよりますが、結構ずれていることに驚かれるかもしれません。

デジカメで月を撮影する際の、私なりのコツをお伝えします。

・ピント合わせは非常に重要です。もし、ピントが合っていなければ全て台無しになるほどです。ライブビューで、完璧に合わせましょう!
・できれば1/30秒より早いシャッターを切って、シーイングの影響をあまり受けないようにします。
・シーイング(気流の安定度)ができるだけ良い日を選びます。
・今日のようなイベントだとシーイングを選ぶことはできません。それで、できるだけたくさんシャッターを切って、後からシーイングのよい瞬間に撮影したものを選びます。
・リモコンやセルフタイマーを使用し、さらに風が収まった瞬間を狙うなどして、絶対にぶらさないようにします。
・ホワイトバランスを太陽光にします。(これは、あくまで好みですが、このような写真では、その場の色を重視した方が雰囲気がでます。
この日は、透明度が非常に悪く高度も低いので、赤い月でしたが、見た目そのままの色が表現されています)

35mm換算で言うと、凄い焦点距離(300mm * 1.4倍テレコン * 1.6倍(キャノンAPS-C) = 672mm)になっています。さらに、上記のような条件(コツ)がたくさん関係していますので、適当に撮影しても、よい作品は撮れません。でも、逆に言いますと、今回のBorgのセット(三脚・デジカメ以外は全てBorg純正品!)を使用して上記のコツさえつかめば、今回の作例くらいなら、誰にでも撮れるようになると思います。

ぜひ、皆さんも、一式揃えられて、挑戦されることをお勧めしたいと思います。ただ、私も含め皆さんも、予算というものがあると思います。
しかし、Borgの良い点は、一つずつ購入でき、そして、その購入した一つずつのパーツによって作品が少しずつ確実に、よくなっていくという点ではないでしょうか?もちろん、男気と予算がある方は、一気に揃えるのも楽しいですし(笑)予算に合わせて、少しずつバージョンアップするのも、楽しいのではないでしょうか?

DSC01543s.jpg ■参考画像 BORG71FLにMMF-1【9857/9858】を装着 ※BORG67FLは71FLよりも約100mm全長が短くなります。67FLは黒仕様も発売予定。

ただ、あえて言うと一点だけ少し苦労しました。ポタ赤にヘリコイドだと、ピント合わせの時に、若干ぶれて合わせにくかったです。私はまだ、入手していなので、はっきりしたことは言えませんが、このような組み合わせの際には、もしかして、MMF-1【9857/9858】などの接眼部を接続した方がよいのかもしれません -> 中川さん、いかがでしょうか?個人的に、冷却CCDでの星雲・星団の撮影の時は、ピントを追い込むのに細かいメモリがあるヘリコイドが、大変気に入っています。ただ、ライブビューを使用し、このような撮影をする時は、フォーカサーを一つ持っておくと何かと便利そうですね。いつの日かレポートしたいものです(笑) 

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■参考画像 BORG77EDII+BU-1セット+【7364】+地上プリズムE-P2【7778】+【7314】+アイピース

次は、BORG67FL+Borg地上プリズムEP-2【7778】のレポートです。今回は、地上プリズム付きにバージョンアップしています(喜)
高度があまりないので、直進タイプでも、無理な姿勢をとる必要はありません。やはり人間の感覚として、上下左右がきちんと見えること、そして正面に見ることこれは、とても大切なことだなーと感じました。(特に、肉眼でも見える地上風景や月など)地上プリズムで見ると、脳が心地よく感じるようです(表現が微妙ですが・・・)

ちなみに、今回の地球照が写った作例では、カメラのラチュードが狭いので眼視のようには表現できていません。HDR等の手法を使う手もありますが、どうしても不自然になりがちです。その点、眼視では、素晴らしい光景でした!月の地球照と明るい部分のコントラスト、そして寄り添う、くっきりとしたスピカ!本当に美しい光景でした!これは、ちょっと感動ものです!(妻も非常に感激していました)このような星食は、時々ありますので、今回見逃された方にも、ぜひ次回ご覧いただきたいです。

肉眼でも、スピカが少し離れると見えないことはないのですが、やはり出現する瞬間などをとらえるには、性能のよい望遠鏡や双眼鏡が必要だと思います。(少なくとも、私には肉眼で、月のすぐそばにあるスピカは見えませんでした)それにしても、非常に美しい光景でした。今でもまぶたに焼き付いています!私が言うのも何ですが、撮影もいいですが、眼視も最高ですね!

ただ、問題点は、眼視と撮影を切り替えるのは、一瞬では難しいという点でしょうか?皆さん既に、Borg沼にはまっておられるので、複数の鏡筒を持っておられるでしょうからあまり問題にならないかもしれませんが・・・(笑)

それに、近代史では最大になるかもしれないといわれる、アイソン彗星が近く来ますので、それまでに、眼視の環境を揃えることを、ぜひお勧めしたいと思います。もしかしたら、一生後悔することになるかもしれません(これは冗談ではありません)彗星も高度が低いので、地上プリズムとの相性は抜群だと思います。(双眼望遠鏡にすると、もっと凄いかも・・・)

以前も書いたと思いますが、とにかくBorgを撮影だけに使うのは、もったいなさすぎです!ぜひ、皆さん、眼視にも挑戦してみてください。絶対に感動しますよ!ちなみに、スピカ食の後、ペルセウス流星群を、もちろん狙いましたが・・・こちらは、あまりの透明度の悪さと薄雲攻撃で、玉砕でした(泣)

最後に、67FL+マルチフラットナー1.08×DG【7108】+EOS5D5DMarkIIによる星野のテスト撮影の画像をお見せします。

2013X2n_7108.jpg

テスト環境:BORG67FL+マルチフラットナー1.08×DG【7108】+EOS5DMarkⅡボデー(フルサイズ)※1.08DGは、規定の300mmに設定。フィルターは未使用 ※中間あたりでピントを何度も合わせて試写し、最もよいと思われる画像を選択した。EOS5DMarkⅡのノートリンミング画像 撮影:中西直樹様

添付した画像ファイルをご覧いただくと、すばらしい結果がすぐに分かると思います。実写画像だけで十分で、言葉のレポートは、いらないのでは?(笑)と言えるほどの超高性能ですね。67FLとマルチフラットナー1.08×DG【7108】の組み合わせは完璧にマッチングしています!画像を見た瞬間、頭痛が吹き飛ぶほどでした(間違えてEOS50Dでテストしているのではと、カメラをもう一度確認したほど・・・)。

■考察
中心部は素晴らしくシャープ。最周辺部まで、ほぼ完璧な星像。フラットナー仕様でも、かなり明るいのでピントは非常にシビア。ほんの少しでもずれると、最周辺部が少し流れてしまう。ピントを完璧に合わせるには、10倍のライブビューでも、倍率が不足している。周辺減光も少なく、ハロも確認できない。

■まとめ
マルチフラットナー1.08×DG【7108】では、フルサイズまで完璧な星像!非常に素晴らしい。 逆にいうと、マルチレデューサー0.7×DGT【7870】との組み合わせだと、天体写真で完璧な範囲はAPS-Cまでなのが非常に惜しい(一般写真ならフルサイズ対応といっても大丈夫)。対物レンズは非常に素晴らしい。2枚玉のF4.5とは思えない!そこで67FLを含め短焦点専用のフルサイズ対応レデューサーの開発が望まれる。

次回は、マルチフラットナー1.08×DG【7108】による、花火・夜景のレポートを予定していますのでどうぞ皆さん楽しみにしていてください。以上、よろしくお願いします。

<中川コメント>
67FLのモニターの中西さんからの気合入りまくりのレポート第7弾です。今回は悪条件のスピカ食に絡めて、様々なレポートをしていただきました。いつもありがとうございます。天体写真用に開発したレンズをテストするには、あまりに酷い悪天候なので各社苦労されていると思います。何しろ、試写すること自体が不可能なほどの天気の悪さですので、天体写真撮影用レンズの開発の難しさを改めて実感しているところです。

そんな中、BORGの場合は、天体以外の用途にも使えるので、ふんだんに作例画像が発信できています。天体以外の作例でも、やはり分かる人には分かるようで、「さすがはフローライトだね。写りが違うよ。67FL必ず買うよ」という声を多数いただいています。ありがたいことです。中西さんのレポートにもある通り、補正レンズは【7108】が一押しです。レデューサーは【7870】でも悪くは無いのですが、フルサイズの周辺まで完璧な像を求めるならば、絞りを入れて少し絞るか、新しい設計にした方が67FLの性能をさらに引き出せるようです。この辺の製品化については現在検討中です。次回は中西さん撮影の花火のレポートを掲載する予定です。

P.S.品切れ情報です。望遠レンズユニットBU-1が品切れしました。ロット完売です。次回の入荷は未定です。同時に71FL+BU-1、77EDII+BU-1、89ED+BU-1も品切れになりました。在庫のある販売店を見つけたら即買いをおススメします。正直価格からいって約1年でのロット完売は予想以上の速さでした。BORGの取っ付きにくさを減らした商品だったのだと思います。

P.S.2 36ED用の1.1倍フラットナー情報です。50アクロマートに1.1倍フラットナーを組み合わせたところ、APS-Cサイズの周辺までシャープな像が得られました。ただし、糸巻き状の収差は残ります。青ニジミも少し減るようで、すでに50アクロマートを所有されている方は使用する価値は十分ありそうです。フラットナーは目下生産を急いでいます。

P.S.3 アングルプレート35II【3035】は今日も飛ぶように売れています。これを使うとナノトラッカーが別の製品かと思うほど安定して使いやすくなるからです。在庫僅少です。これで天気が良かったら、とんでもない事になっていたでしょう。とにかく天体写真は晴れてさえいれば、思った以上に簡単に撮影できてしまうので、撮影者が感動してしまい、またすぐに撮りたくなるのです。でもすぐにそれを天気が邪魔をします。その過酷な試練に耐えたものだけが残るある意味実に厳しい世界なのです。なので、天文人口は一向に増えないのです。BORGはその過酷な天体写真を少しでも気軽に撮れるようにと日々努力しています。今日もBORG開発者ブログをご覧いただき、ありがとうございます。 

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