BORG WORLD 画像作例集
2010年9月 5日 11:13 E-PL1,月面

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BORG125SD+7215+MMF-1+E-PL1 i-FINISH  AWB ISO100 1/20秒 固定 撮影:中川昇 2010/09/04-09/05 

 ■BORG125SD+7215+E-PL1による月面撮影のコツ■

8月21日以来、実に15日連続で月面撮影をしました。それだけ晴れたということでもありますが、とにかくこれだけ連続して撮影が出来たのは初めてです。これだけ撮影すると自分でも日毎に腕が上達するのが分かります。上達するとますます撮りたくなり、はまっていきます。今朝は暁の空に消えゆく月を見ながら、「今回の月面には楽しませてもらったなあ、ありがとう。」と思わず感慨にふけってしまいました。たいぶ撮影のコツを掴んだので、忘れないうちに備忘録として記事を書いておきます。今回は、「125SD+7215+E-PL1による月面撮影」と敢えて機材を限定しました。その方が書きやすいからで、他の機材の方はうまく読み替えて参考にしていただければ幸いです。それでは、箇条書きにして撮影のコツを以下に列挙していきましょう。

1.機材は事前に十分に外気にさらしておく。その方がレンズも筒内も外気に馴染み、すぐに良い画像が得られる。すくなくとも撮影の30分前には外に出すこと。

2.拡大率は欲張らない。基本は「小さく撮って大きく伸ばす。」今回の合成の焦点距離は750mm×1.4倍テレコン×2倍相当(マイクロフォーサーズ)=2100mmにしたが、これで十分。1.4倍テレコンはカメラ用ではなく、ボーグ純正の72147215の方がコントラストが良く周辺までシャープ。シーイングが悪いときは、テレコンを外した方が良い。後でトリミングした方がシャープな画像が得られやすい。

3.ピント合わせは肝。マイクロフォーカス接眼部(MMF-1LMF-1)のような減速微動装置のある接眼部でないと最高のピント追い込みは難しい。減速微動装置は軽い力で動くので、三脚がやわでもむやみに像が揺れずに落ち着いてピント合わせが出来る。ピントは、その日に見えている欠け際で一番はっきりとしたクレーターの縁で合わせる。撮影後はその場ですぐに確認。ピンボケか?望遠鏡側のブレか?被写体ブレか?を見極める。

4.カメラの選択も極めて重要。現状ではローパスフィルターが薄く解像力の高いオリンパスE-PL1がベスト。軽量なので接眼部にも負担をかけない。E-PL1の仕上がりモード「ⅰFINISH」は非常に優秀。また、JPEG処理も優秀で、シャープ、アンシャープ以外の画像処理は全く不要。いわゆるJPEG撮って出しがベスト。その他、AWB、ISO100、2秒セルフ+低振動モード、画像サイズLFという設定が中川のおススメ。月面に向かないカメラでいくら調整しても限界がある。

5.E-PL1のアクセサリーでVF-2という外付けEVFは必需品。極めて見やすい液晶ファインダー。任意の場所を14倍まで拡大できるので、ピンボケはまずあり得ない。しかも、90度まで角度が変えられるので、ピント合わせをする姿勢が非常に楽になり、腰を落ち着けてピント合わせに集中できる。

6.シャッターは「2秒セルフタイマー+低振動モード」という月面写真のために設けられたような設定が非常に有効。これでブレは防げるが、おまじないも兼ねて、シャッターが切れる瞬間は息を止めるようにしている。とにかく、いくらピント合わせを慎重にしてもぶれてしまったら元も子もないので、神経質なくらい気を使うこと。

7.シャッタースピードは原則として速いほうが良いが、共振してぶれやすいシャッタースピードというのもあるので、注意が必要。特に1/15~1/30秒がぶれやすいといわれている。日周運動によるブレは口径分の1秒といわれているので、10cmなら1/10秒より速いシャッターを切ればOK。三脚は木の三脚の方が振動の吸収性が良くおススメ。私の木製三脚もすぐに振動が収まる。

8.撮影後のピントチェックは、等倍以上で入念に。私は150%でチェックしている。画像処理はシャープとアンシャープ以外は原則しない。いじればいじるほど不自然になる。カメラの画像処理エンジンの出来の良さが鍵。その点オリンパスは優秀。トリミングは恐れず積極的に。

9.枚数は多く撮ればそれだけチャンスは増えるが、あまり多く撮影するとカメラが熱を持ち、ノイズが増えることがあるので要注意。また、撮影後のチェックも大変になるので、集中して数十枚程度に抑えた方が良い。

10.出来るだけ月の高度が高いときに撮影する、シーイングの良いときを予測する、月の地形を勉強する、等々やるべきことは山のようにありますが、それだけ月面写真は奥が深く、撮り甲斐があるというものです。少し古いですが、私の過去記事(こちらこちら)も合わせて参考にしてください。

とりあえず、気が付いたことは以上ですが、後日思い出したことは追加したいと思います。参考にしていただければ幸いです。(2010/09/05月面の鬼:中川昇記)

 

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