50EDとPowerShot S50

● きっかけ

インターネットで、偶然、Digisco.comを見たのがきっかけでした。
超望遠撮影が簡単に、しかもローコストで出来るのなら、やってみようか?という気に、、、
その気には、なったものの、「手に負えずに、あきらめるかもしれない。」又、逆に簡単なら、「すぐに飽きてしまうかもしれない。」という不安がありました。

そこで、初期投資を、出来るだけ抑えて開始しようと、器材選びを始めたのです。
BORGなら、対物レンズが交換できるから、後でグレードアップが可能ですので、ちょうど良い選択となりました。
デジボーグを始めたのが、昨年11月。ちょうど一年です。


作例その1 カワセミ

 

● BORG 50EDでスタート。

ミニボーグの45EDか、50EDかで、すこし迷ったのですが、大口径への発展性を選んで、50EDとしました。これは、大正解だったと思っています。口径が50mmでは、暗いかな? との心配もありましたが、今のところ、何の支障もなく使っています。

82mmクラスのフィールドスコープの方と並んで撮影していても、シャッタースピードは殆んど変らないことが多いです。
私は、露出優先AEを使用して、開放絞りで撮影している分、口径分のハンデを、補っているのだと思います。それと、フィールドスコープは、正立プリズムによる光量ロスも多少有るのでしょうか。スコープの性能は、本当にクリアーです。

先日も私の写真を見た方が、「天体望遠鏡って、こんなクリアーで綺麗な写真撮れるの! 認識を換えなあかんな!」と言ってました。「 鼻高々、」自分の使っている器材が誉められるのは嬉しいものです。


カキツバタの花が咲くところで撮影していたときに、花の色が少し青っぽいかな、と感じたことが一度有りますが、その時限りですので、気にするほどではなかったのだと思います。他に、色収差は全く感じません。
フィールドスコープは、使ったことがないのですが、写真で見る限り、像のクリアーさは、BORGのほうが、かなり勝っている様に感じます。対物レンズの精度と、接眼レンズまで無駄な屈折が一切ない、シンプルな構造の成果でしょうね。

欠点は、システムが、ちょっと長いことだけです。
それも、仰角が大きいときにだけ、気になります。
カメラ側が下がる分、膝をついての撮影になりますので、雨後などはちょっと困ります。


作例その2 キジバト

 

● 現在のシステム

スコープ(パーツ構成)
50ED対物レンズ 【2550】
80φ鏡筒L50mm 【7050】
80φ鏡筒L205mm 【7800】
ドロチューブホルダー 【7749】
ヘリコイドM 【7835】
2インチホルダーS 【7508】
M57/60延長筒S 【7602】
M57/60延長筒L 【7604】
M57→M36.4AD 【7522】
31.7mmアイピースホルダー【7317】
無限遠は、ちょっと苦しいです。最大200m位迄だと思いますが、デジボーグには十分です。

バランスプレート
アルミ角パイプ 40×20×2 を加工。
スコープは、ガイドスコープ用の台座を利用して取付け。3点で支持しています。
対物側の支持は、木材を加工してバランスプレート先端に固定、両面テープでスコープに接着。
接眼側は、アクリル樹脂を加工、57/60延長筒Lに両面テープで貼付け。摩擦面を小さくする為、下面も60φの曲面(凹)に加工しています。元は、100円ショップのサイコロでした。

アイピース
PENTAX XW20 : ステップアップリング37-43常時取付
PENTAX XL14 : 誠報社 XL用アダプター37φ
笠井UW9      : 誠報社 ビクセンGL用アダプター37φを接続。
(アイピースのツバを削り、目レンズがアダプターの手前にセットできるように加工。テープを巻いて太さ合わせ。)

カメラ
CANON PowerShot S50
 アダプター : アルミアングル 50×50×3加工、HAKUBAステップアップリング37-43を接着
          → 43φフィルター枠 → RAYNOX アダプター RA3743

SANYO MZ3
 アダプター : アルミアングルピース 50×50×3加工、Kenko DC-A4(36.5→37mm)を接着
         (長さ調整に多少削ってます) → 37φフィルター枠


機材の全体(50ED+S50の倒立像システム)

 

● 1年使用して

デジボーグ開始当初から、口径の大きいクラス(77ED)へグレードアップを念頭においていましたが、今はまだ、全く不満を感じません。
「旅行用にもう少しコンパクトなシステムとして、早く60EDが出ればいいのに、」とか、「デジ眼で直焦点なら、77EDがいいな」とか、物欲は有りますが、メインのデジボーグはまだまだ、50EDということになりそうです。

 

● 予想外のこと

デジボ-グを始めるときには、既にミザールのプリズムの生産が、完了していましたので、最初から、倒立像でスタートしました。これは良かったと思います。デジカメも初めてならスコープも全く初めてですので、あまり戸惑いもなく馴染んでしまいました。

3ヶ月目くらいから、反転像に合わせて、カメラも上下逆向きに取付けています。
こうすると、なにもしなくても、パソコンに取込んだときは、正立像です。
それに、カメラ逆付けは、レリーズケーブルが、一直線にぶら下がっていますので、シャッターを押す時の抵抗が少ないメリットが有ります。

ところが、先日、ミザールの正立プリズムの在庫品を見つけたので、即、購入。
夜、月を撮って鏡筒長さを調節しようと、組込んだのですが、ここで問題が発生しました。
正立像では、うまく狙えないのです。

自分の考えとは反対側に、スコープを振ってしまいます。
止っている、満月でさえうまくいきません。
その上、今使っているカメラ(Canon PowerShot S50とSANYO MZ3)は、上下逆付でしか使ったことがないものですから、カメラの操作もモタモタ! 
結局、プリズムは、又、箱にしまい込んでしまいました。ショップの在庫が、我家の在庫に。
『倒立像症候群 ?????』

 

50EDの機材紹介と作例写真を頂戴いたしました。(年末年始繁忙のため、掲載が遅れたことをお詫びいたします。)例によって複数のすばらしい作例があるのですが、こちらで3枚だけにセレクトさせていただきました。非常に残念ですがご了承ください。

50EDは、F10という口径の割りに長い焦点距離を持つ望遠鏡です。最近では時代の流れであまり人気も無く、残念なことに生産中止になってしまいました。性能を考えるとF10の余裕がある光学系は貴重です。実は私も個人的に1台持っているのですが、これは大切にしたいと思っています。

さて、今回の作例、非常に素晴らしいですね。
冒頭のカワセミは多少色収差が出ているものの、写りは抜群です。この色収差は、対物レンズというよりは、アイピースかカメラレンズに原因があるのかな?と推測しています。

機材については、いくつかの工夫が施されています。
ヘリコイドを軽く動作させるための支えや、カメラを逆さまに取り付けたり、スポットファインダーを載せていますね。また、パーツ構成を見ると、鏡筒を長めに設定しているので無限大には合焦しないそうです。天体用では困ってしまいますが、野鳥の撮影ならこの方がベターです。より近距離でもピントが取れるようになりますから、使い勝手は良いのではないでしょうか。

最後に、倒立像症候群のコメントを頂きました。ちょっと笑ってしまいますが(おっと失礼しました)、確かにその感覚は分かります。体が慣れてしまうと反射的に逆に動かしてしまいます。何だか古くからの天文マニアと同じような癖ですね。

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