フローライト裏話
■フローライトといえば皆様、アメジストのように色のついたものが思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか?世界には、白・緑・青などの色がついた美しいフローライト原石がございます。しかし当然、色のついたフローライトを望遠レンズとして使用することはできません。そこで、人工結晶化を行って望遠レンズとして使用できる無色透明の高品質なフローライトを製造しているのが、キヤノンオプトロン㈱です。

■天然の蛍石は、不純物が混入している為、緑色などの色がついていますが、71FLや50FLで使用している蛍石は、キヤノンオプトロン㈱が永年にわたって培った製造方法により、天然の原石を原料として、人工結晶化したものなので、不純物がなく無色透明です。蛍石の人工結晶化には、多額の費用と膨大な時間が必要になってきます。写真のような人工結晶化された、無色透明の蛍石(正八面体)が市場に出回ることは非常にレアなことです。

■よく蛍石は何がいいの?EDガラスと比べたデータはあるの?など質問を受けますが、実際そのデータをユーザーにお見せするのは難しいです。相手玉の存在・設計によって性能が左右されるからです。ただ、蛍石が世界最高峰のレンズであることは、歴史がそれを証明しております。カメラレンズ業界では、最高級レンズに蛍石をあげています。写真の世界は芸術です。100m競技のように数字で全てが表せることではないと思います。

芸術の世界で一番大事なことは感覚だと思います。蛍石レンズが売れる要因は、蛍石レンズで撮影した写真に、ユーザーの感覚に無言で訴える何かが、あるからだと思います。