BORG WORLD 画像作例集
2013年5月21日 08:44 36ED,web カメラ,月面

36ED(月、コンパクトエクステンダー).jpg

BORG36ED+【4603】+イメージングソースモノクロWEBカメラ 撮影者:中西直樹様
<中川コメント>
はあ~~~~。はあ~~~~~。参りましたね・・・・・・これは~~~~。まずいです。実にまずいです。これは・・・。大きなBORGの立場がない・・・。ホントに。困ります。中西さん。もうこれ以上中西レポートを載せるのは反発を食うかもしれません・・・。というのは冗談ですが、それほどのインパクトです。金環日食1周年記念の日のサブロクショック!です。

36ED(月コンパクトエクステンダー撮影仕様).jpg 今回の撮影機材:36ED延長筒(フード) + 36ED  + M42ヘリコイド + M42ヘリコイドL + M42→M57変換 + DZ-2  + ミニミニドローチューブ + SD-1X(Aのみ) + コンパクトエクステンダーメタル  + 31.7延長(2個) + イメージングソースモノクロWEBカメラ 撮影者:中西直樹様 ※DZ-2【7517】は試作品、【7517】の下方のプレートはVプレート80S【3165】でビクセン規格のアリミゾに装着できます。

<撮影者のコメント>
こんにちは、中川さん。中西です。レポート第六弾 月撮影編です。

先回、太陽の全景撮影で、コンパクトエクステンダーメタル【4603】を使用しましたが、まだまだ拡大できそうでした。それで今回は、アイピースでの拡大撮影で全景にまず挑戦しました。尚、アイピースはビクセンLV10mmです(前回に引き続いて社外品ですいません)。よって、合成焦点距離は下記のとおりです。

    倍率:200 / 10 = 20倍  アイピースからCCDまでの距離(見えないのでだいたいですが):60mm程度
     ※ミラーレスなどで、アイピースと映像素子までの距離を近づけると拡大率は低くなる
    合成焦点距離:20 * 60 = 1200mm  F値:1200 / 36 = 33.3

機材は、太陽の拡大撮影と基本的に同じです。(D5フィルターとフードを交換し、アイピースを変えた以外は同じ)

撮影機材:36ED延長筒(フード) +36ED + M42ヘリコイド + M42ヘリコイドL + M42→M57変換 + DZ-2 + ミニミニドローチューブ + SD-1X(ビクセンLV10mm内蔵) + M57→M36.4変換 + 31.7アイピースアダプタ + イメージングソースモノクロWEBカメラ

ただ、計算結果よりも拡大率が上がっていないように感じます。しかし、もっと問題なのは、画像処理をする以前から、明らかに周辺が流れてしまっているのが分かります(泣)。参考までに、簡単に画像処理したものを添付(※都合により画像は割愛しました)しますが、思った以上に周辺が悪いです。これではとてもモザイクはできません。もちろん、これは36EDの問題ではなく、LV側の仕様の問題です。LVは撮影用ではありませんし、視野も狭いので、周辺部が流れるのでは?と思います。中心部はシャープなので残念ですが、これでは、中心部をトリミングする惑星などでしか使用できません。Borg純正のアイピース群は、ワイド仕様なので、もしかしたら周辺まで問題ないかもしれませんが、現時点では所有していないので検証できませんでした(泣)。

それで、得意の(笑)コンパクトエクステンダーメタル【4603】仕様に切り替えました。ただ、太陽と同じ拡大率では低すぎると思い、できるだけ拡大率をあげるために、コンパクトエクステンダーと、WEBカメラの間に延長筒を2つ入れました。計算できていませんが、太陽と比べると明らかに拡大率が上がりました。

想像はしていましたが、今回も、やはり口径36mmとは思えない感動的な写りです!正直言って、「口径36mmで撮影しました」と言っても、かなりの人が「本当に36EDで撮ったの? 77EDⅡとか使ってないの?」と思われるかもしれませんが本当に36EDでの撮影です(77EDⅡなら、天文ガイドの最優秀作品が撮れますので・・・) これだけ、延長筒を入れているのに周辺部の流れも特にありません。しかし、コンパクトエクステンダーでこれだけ写ると、アイピースでの拡大撮影にも、再度チャレンジしてみたいですねー。

対物の焦点距離や口径からすると、本来カメラレンズと比べるべきなのですが、比べるまでもありません。それよりも、小口径(5~7cm)のアポクロマートがライバルではないでしょうか?今回の撮影仕様は、36EDにしては少し大きいとはいえ、5~7cmの他社の望遠鏡とは、比較にならないほど小さく軽量です。こんなに小さい36EDで、ここまで写るとは、正直驚嘆ではないでしょうか?またまた素直に感動です!

一般的な用途なら、ここまで写れば十分にも感じます。でも、89EDなら、もちろんもっと写ります(笑)。でもその前に、36EDでここまで写るはずだと、夢をもって努力し工夫するととても楽しいですし、技量も上がると思います。より口径の大きいBorgにステップアップした時に必ず役立ちます。一般的なカメラレンズの場合、画質が悪いと、本来の機材の性能が悪いのか、撮影方法が悪いのか、気流が悪いのか、処理が悪いのか、何が何だか分からなく迷宮に入る恐れがあります(笑)

しかし、36EDを含め、Borgの場合は、性能を限界まで引き出せば、ここまで写るというのが既に分かっているのです。つまり、気流さえよければ、撮影方法や処理を、きちんとすれば必ず写るはずなのです。もちろん、撮影や処理にも色々方法がありますので、試行錯誤は必要ですが、カメラレンズのように何が悪いのか、全く分からないという状況に陥ることはありません。これは、初心者にとっては特に大きなメリットだと思います。

撮影方法に関してはBorgのサイトにたくさん説明がありますし、画像処理に関してもネットや雑誌、書籍で説明がたくさんあります。まずは、基本をマスターしてそれから、自分なりに試行錯誤するのがよいかと思います。

それにしてもBorgの場合、36EDから125SDまで、ほとんどのパーツが共有できるというのが本当に大きなメリットと感じます。36EDから、どんどんステップアップするのもよし、比較的大きな口径のBorgを持っている人も36EDをラインナップに揃える事で、世界を広げるのもよし!どの機種にも、それぞれのメリットがあるので、どれから揃えたらよいか悩むところですねー(笑)

以上、よろしくお願いします。

<中川コメント>
中西さん、今回もレポートありがとうございます。毎回毎回、圧倒的な画質の高さとレポートの内容の濃さに驚嘆するばかりです。今回のレポートですが、まず、LVアイピースの名誉のためにいっておきますと、短焦点・短F値の望遠鏡+アイピースの拡大撮影の相性はあまりよくありません。やはり、アイピースは眼視用なのです。一方、意外だったのは、コンパクトエクステンダーメタル【4603】の高性能ぶりです。やるぞ4603!

というわけで、褒める言葉が無くなってきました。今回の36EDによる月面は、従来の天体写真の概念を大きく崩すエポックメイキングな画像だと思いますが、それを評価する言葉が見つかりません。どうも36EDは従来の天体望遠鏡という枠を超えた新しい存在なのではないか?と思い始めています。「BORGを超えたBORG」という感じです。

BORGが世に出て22年。過去にも何度も書きましたが、発売当初のBORGの評価は散々でした。「対物レンズが外れるなんて天体望遠鏡としてありえない」「鏡筒がバラバラになるなんて面倒くさい」「システムが分かりにくく過ぎる(これは今でも言われますが)」「作りがちゃち過ぎる」等々、特に保守的な天文ファン、保守的な天文雑誌、保守的な望遠鏡販売店からは総スカンでした。いわゆる「天体望遠鏡とはこうあるべきだ」という固定概念が当時は根強くあったのです。

当時はなぜこうも理解されないのだろうか?と疑問でしたが、今は少しは理解できます。保守的な業界に切り込むには、必ず通らなくてはいけない儀式のようなものだったということです。逆に簡単に受け入れられてしまったのでは、それは画期的でも何でもなく、ただの改良品、改善品にすぎないということです。新しいコンセプトを理解してもらうには、時間も労力もかかります。その時間が22年という歳月なのだと思います。

というわけで、36EDは時代がBORGに追い付いた?2013年夏に発売予定です。販売店からも、より具体的な発売時期や価格についてのお問い合わせをいただきますが、まだその段階ではありません。ただ、言えるのは、36EDからボーグを始めるとBORGシステムへの理解が早いだろうなということです。あらゆる機材にいえることですが、段階的にステップを踏むことが遠回りのようで一番近道であるということです。BORGでいえば「まず36EDから始める」。これが王道です。

中西さんも書かれている通り、36EDでBORGの基本を学べば、その後、大きなBORGへグレードアップした際に必ず役に立ちます。やはり基本は重要なのです。「36EDでBORGの基本を学ぶ」そういうスタンスが36ED発売後のBORGの王道になるかと思います。新しい時代の幕開けといえるでしょう。

P.S.完売情報です。BORG71FL全製品【6272】【0271】【6271】【6173】【2571】【6071】【6171】の値上げ前の価格の在庫が完売しました。従いまして、大変恐縮ですが、今日以降に新規にご注文をいただいた分は、新価格での販売となります。何卒、ご了承ください。他のBORGもあまり余裕はありません。突然の完売宣言があるかと思いますが何卒ご容赦ください。また、【7000】【5002】【50021】が入荷しました。さらには【7108】【3035】が品切れしました。【7108】は値上げ前に入荷予定です。アングルプレート35II【3035】は価格は据え置きですが、ポータブル赤道儀ブームにより爆発的に売れていて品切れしました。次回は7月末の入荷予定です。ご了承ください。

P.S.2 昨年の今日5月21日、日本で金環日食がありました。あれから1年です。軽井沢まで撮影に出かけてとても感動したことを昨日のことのように思い出します。ただ、その時に36EDがあれば、移動がとても楽だったのになあとは思います。「BORGでたくさんの感動体験をしていただきたい」と心から思います。今日もBORG開発者ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

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